HA-P90SD

いろいろな理由でこんなのを買って8ヶ月になりました。


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HA-P90SD | TEAC

 

世間一般にDAP(Digital Audio Player)と言われるものですが、HA-P90SDは少し趣が異なります。大画面とは。

かつて使用していたGigabeatG23と比べてみましょう。


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GigabeatGはスリムかつ操作重視で良いプレイヤーでした。mixiにコミュニティも立てましたっけ・・・ではなく、赤い方、サイズがちょっと。小型化?軽量化?

代わりに縦のラインがゴムになっており、質量と相まって滑り止めになるので、これはデザインと利便性が両立した非常に合理的なスタイルだと思います。

 

DIGITALと書いてありますし、いろいろ繋がりそうでしょう?ここが本機の魅力の1つでした。

 

具体的には

[Input]:MicroSD/SDHC/SDXC(~128GB),USB(Windows/Mac/Android/iOS),S/PDIF(Coaxial/Optical),LINE

[Output]:Headphone(8-600Ω,170mW+170mW@32Ω),S/PDIF(Coaxial)

※DIGITAL I/OとLINE INは排他利用

という豊富な入出力系統です。

 

お気づきでしょうが、これはDAPのフリをしたヘッドホンアンプ付DACです。

まず、DAPとしての機能は、便利さとは皆無です。

 

GigabeatGユーザーですら、階層単位で再生できなかったり、新しいファイルはリスキャンしないと読み込めないなど、PCMレコーダー同様のソフトにはビックリです。

 

基本的にプレイリストを作っておいて、それを選ぶスタイルになりますが、対応する形式がpplのみとなり、また付属ソフトがm3uにすら対応しないので、適当に作ったm3uを使うには他のソフトの力を借ります。

 

Hi-Res Audio Player(SONY)

https://www.sony.jp/support/netjuke/download/hi-res-ap-win/

https://www.sony.jp/support/netjuke/download/hi-res-ap-mac/

 

このソフトでm3uで読み込んだプレイリストをpplで保存できます。と言うか設定画面など見た目がまんまなので開発元は同じなのでしょう(ゲフゲフ)。

また、pplは絶対参照で収められており、PC上のファイルでプレイリストを作る場合、ファイル階層がプレーヤー内と揃うようにテキストエディタなどで更に編集を行う必要があります。

 

この辺はGigabeatGユーザーからしたら「少し処理が増えるね」くらいですね。むしろ専用ソフトの転送と暗号化が無いことを考えればむしろ幾分便利かも。

 

ちなみに、WAVEのタグには対応しないのですが、リスキャンの時間が長いことを考えると、むしろ対応してない方が便利なのではないかと。

ファイル名に曲名とアーティスト名を入れておけば良いだけですし。

ただファイル名にドット空白やカンマの入ったファイルなどは読み込まないことがあるので、ここは注意です。

(サポート原文ママ:WAVファイルはタグ情報ではなくファイル名のみ認識します。このため、「, ! " # $ % & ' ~」のような特殊文字は使用できません。)

またカバーアートが埋め込まれたWAVEファイルによっては、 File Error と表示され再生不可能になります。この場合はWAVEからカバーアートを除去すると再生可能になりました。(XRECODE3を使用)

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(File Not Found PLAYLISTと表示されるファイルは他のタグ情報が悪いようなので、XRECODE3ではなくuLilithでWAVE化しました)


操作自体は、正面のHOME+オーディオ操作と側面の操作ジョグという構成で、これは慣れるとそれなりに便利です。ただHOMEは側面にも付けられなかったの・・・?

 

次に外部接続時について、まずUSBで接続すると、USBオーディオとして読まれる他、microSDも別に外部ストレージとして読み込まれるので、ファイルを別に持っておく必要が無いです。

ドライバはAudio Class2.0に対応しないWindows 8.1以前のみ専用ドライバのインストールが必要で、他は繋ぐだけで使えます。

スマホからの音楽の再生は公式アプリのTEAC HR PLAYERから行うのですが、これはWAVEのタグに埋め込まれた画像を読むほどで、便利さが欲しいときはこちらからmicroSDの音源を再生すれば良いのではないでしょうか。

 

同軸や光、アナログ入力は差すだけで使えますが、USBが優先される点だけ注意が必要です。ちなみに付属のmicroUSB2.0ケーブルは驚くほどガタの出ないものでここだけでかなり驚きます。

 

さて、肝心の音質について。

 

正直最初は低音がブーミーで相当ガッカリしました。2週間はこの傾向が変わらないので、「豊かな低音」とレビューをしているところは使い込んでいないのではないかと思います。

1ヶ月すると低音は相当締まりますが、変わらず籠もったような音がして、この程度だとWM8728の載ったAVアンプと比べて負けるレベルでした。

 

このレビューは鳴らし始めて8ヶ月経って上がることになりましたが、半年かけてAVアンプより良いレベルになるまでボツ記事状態だったので、能力を引き出すのにそれほど時間のかかる品だと思います。

 DDCとしてUSB入力S/PDIF出力をさせても同じ傾向の変化をしているので、トランスポートとしても相応の時間が必要です。

 

いまでは、据え置きDACにすら勝る、定位、空間表現、情報量を誇るのに、ポケットサイズという驚きと共に聞く悦びに値する製品だと思っています。

特にヴォーカルが点で定位する感覚は実に気持ちよいです。

そしてDSDも再生できますが、これを本機で再生する理由はなさそうです。

 

あと、音量がとれすぎるので、アンプのAUXに入力する際に出力を上げすぎると、接続先でクリップして音が割れてしまいます。普段はゲインLの-20dBATTで良いと思います。

なお、ATT設定でEAR PROTECTはどうも音が潰れるのでオススメできません。問い合わせたところアナログゲイン制御ということなので、機材との相性かもしれません。

とか書いてましたが、-20dBでも粗っぽいです…0dBが聞こえが良いですが使いにくいので-10dBで常用することにしました。(今はもっぱら0dBで常用してます…)

 

 

ここで実装された部品について

DIR:AKM AK4117VF

DAC:Texas Instruments(Burr-Brown) PCM1795

OPAMP:Texas Instruments(Burr-Brown) OPA1602

Volume:JRC NJW1195

DCDC:Texas Instruments TPS65131 

OutputTr:ROHM 2SCR543/2SAR543

PowerDr:JRC NJM2368

CPU:Analog Devices Blackfin ADSP-BF606

RAM:FIDELIX FMD4A16LDH

 

参考:基板写真1(リンク切れ)

参考:基板写真2(リンク切れ)

参考:qobuz記事(記事内に基板写真あり)

TEAC HA-P90SD: a portable DAC with a solid, musical headphones amplifier and DAC compatibility!

 

S/PDIFとI2Sのブリッジやら、とにかく部品がコンポーネントで構成されています。

というか、据え置きDACをそのまま小型化してませんかこれ・・・

 

ちなみに、問い合わせたところデジタルフィルターの設定はSHARP roll-offということで、通常の線形位相フィルターが設定されているそうです。

 

なお、冒頭に写っているSONY製のオカルトmicroSDですが、本体のエージングが進んでいない当初から、東芝SandiskらしきSDより滑らかで豊かな音でした。なおTransendは論外です。後から試したLexarのUHS-IIもいまふたつ。

正直他に有望なカードが安く無い以上、容量が許すならSR-64HXA一択ではないでしょうか・・・・128GB版は出ないのでしょうかソニーさん・・・

 

余談ですが、最近のファームまで電源接続時には液晶が常時点灯仕様だったのを、ノイズの原因になると報告したところ、設定内容を反映するようにアップデートされました。

 

既に発売から2年となるので、いつまで販売されるのかわかりませんが、Androidを搭載した陳腐化の激しいDAPとは違うので、長く発売されて欲しい一品です。

 

もちろん、ラインアウト対応や4極ジャックになるようなマイナーチェンジは大歓迎!

 

了(追記は随時

 

最終更新2018/08/04